「ネットワークビジネスとマルチ商法は同じなの?」
「MLMという言葉なら合法なの?」
「連鎖販売取引とは何が違う?」
ネットワークビジネスについて調べていると、
・ネットワークビジネス
・MLM
・マルチ商法
・連鎖販売取引
といった似た言葉が数多く出てきます。
さらに「マルチ=違法」「ネットワークビジネスなら問題ない」といった説明を聞くこともあり、混乱している方も多いのではないでしょうか。
結論からいうと、これらは完全に同じ意味の言葉ではありません。
特に重要なのは、
「ネットワークビジネス」「MLM」「マルチ商法」は一般的に使われる呼び方であり、「連鎖販売取引」は特定商取引法上の用語である
という点です。
この記事では、それぞれの意味と関係を初心者向けに整理します。
まず4つの言葉の違いを簡単に整理
最初に全体像を確認しておきましょう。
| 言葉 | おおまかな意味 | 法律上の正式名称? |
|---|---|---|
| ネットワークビジネス | 紹介によって商品・サービスの販売組織を広げるビジネスの一般的な呼び方 | いいえ |
| MLM | Multi-Level Marketingの略。多段階の販売組織を形成するマーケティング方式 | いいえ |
| マルチ商法 | 商品・サービスを契約した人が次の人を勧誘し、紹介料などを得る商法を指す一般的な呼び方 | いいえ |
| 連鎖販売取引 | 一定の条件を満たす取引について特定商取引法で規定されている取引類型 | はい |
日常的な会話では、これらがほぼ同じ意味で使われることもあります。
しかし、法律上の判断をするときには言葉の呼び方ではなく、実際の契約内容や取引の仕組みを見る必要があります。
ネットワークビジネスとは?
「ネットワークビジネス」は、紹介によって商品やサービスの利用者・販売員を増やし、販売組織を広げていくビジネスモデルを表す際によく使われる言葉です。
例えば、
Aさんが商品を利用する
↓
AさんがBさんに紹介する
↓
Bさんが商品を購入・会員登録する
↓
BさんがCさんに紹介する
というように、人から人へ商品・サービスの情報が伝わります。
企業によっては、本人やグループの販売・購入実績などに応じて報酬が発生します。
ただし、「ネットワークビジネス」という名称そのものが法律で定義されているわけではありません。
実際に消費者庁の特定商取引法ガイドでも、「ネットワークビジネス」という表現を使用した相談事例が、法律上の「連鎖販売取引」の事例として紹介されています。
MLMとは?
MLMは、
Multi-Level Marketing
の略です。
日本語では「マルチレベルマーケティング」などと訳されます。
Multi-Levelは「複数の階層」という意味で、販売員や会員が紹介によって階層的な組織を形成していくことから、このように呼ばれています。
例えば、
あなた
↓
Aさん・Bさん
↓
A-1さん・A-2さん・B-1さん
↓
さらにその先の会員
というように販売組織が形成されます。
MLMでは、商品・サービスの販売実績やグループの売上などに応じて報酬が計算される仕組みが一般的です。
報酬プランには、
・バイナリー
・ユニレベル
・ブレイクアウェイ
・マトリックス
などさまざまな方式があります。
つまり「MLM」は、主に販売・マーケティングの仕組みを表す言葉と考えると分かりやすいでしょう。
「ネットワークビジネス」と「MLM」はどう違う?
一般的には、
ネットワークビジネス ≒ MLM
という意味で使われることが多くあります。
「私はMLMをしています」
という人もいれば、
「ネットワークビジネスをしています」
という人もいます。
実際には、同じようなビジネスモデルを指して使われるケースが多いでしょう。
ただし、どちらも法律上の正式な取引類型の名称ではありません。
そのため、
「ネットワークビジネスという名前だから合法」
「MLMと呼んでいるから特定商取引法は関係ない」
という判断はできません。
法律上どのような規制を受けるかは、名称ではなく実際の取引内容によって判断されます。
マルチ商法とは?
「マルチ商法」も、一般的に使われている呼び方です。
国民生活センターでは、マルチ商法について、
商品・サービスを契約した人が、次はその組織の勧誘者となり、紹介料などの報酬を得る商法
という趣旨で説明しています。
例えば、
Aさんが商品を契約
↓
AさんがBさんを勧誘
↓
Bさんが契約
↓
Aさんに紹介等に関連する報酬
↓
BさんもCさんを勧誘
という形です。
人を紹介することによって組織が拡大していく点が特徴です。
マルチ商法=違法なの?
ここは誤解されやすいポイントです。
「マルチ商法」という言葉そのものが、違法行為を意味しているわけではありません。
国民生活センターでも「マルチ商法」という言葉を、商品やサービスを契約して、次に自分が勧誘者となり、紹介料などを得る取引形態を説明するために使用しています。
一方で、マルチ商法に関連して、
・強引な勧誘
・事実と異なる収入説明
・高額な契約
・借金をさせて契約
・解約や返金をめぐるトラブル
などの相談が発生しているのも事実です。
つまり、
マルチ商法という取引形態そのもの
と、
その中で行われる違法・不適切な勧誘行為
は分けて考える必要があります。
では「連鎖販売取引」とは?
ここからが法律上の話になります。
特定商取引法では、一定の条件を満たす取引を「連鎖販売取引」として規制しています。
消費者庁の特定商取引法ガイドでは、
個人を販売員として勧誘し、その人にさらに次の販売員を勧誘させる形で、販売組織を連鎖的に拡大して行う商品・役務の取引
という趣旨で説明されています。
ネットワークビジネスやMLMとして行われている事業の中には、この連鎖販売取引に該当するものがあります。
連鎖販売取引に該当するポイント
特定商取引法では、単に「紹介制度がある」というだけで連鎖販売取引になるわけではありません。
法律上は、
特定利益
と
特定負担
という考え方が重要になります。
特定利益とは?
簡単にいうと、
「他の人を加入させたり、組織の販売実績などによって得られる利益」
などを指します。
例えば、
「人を紹介して、その人が商品を購入すると報酬が入ります」
といった利益です。
特定負担とは?
ビジネスに参加するために必要となる金銭的な負担などです。
例えば、
・登録料
・商品購入
・入会金
・研修費
・保証金
などが該当する可能性があります。
つまり、
「このビジネスに参加すれば、人を紹介することで利益を得られます。ただし参加には商品の購入や登録料が必要です」
といった仕組みでは、連鎖販売取引に該当する可能性があります。
「マルチ商法」と「連鎖販売取引」は完全に同じではない
ここも非常に重要です。
国民生活センターは、「マルチ商法」という言葉について、
特定商取引法上の「連鎖販売取引」とは必ずしも一致しない
と説明しています。
つまり、
一般社会で「マルチ商法」と呼ばれる範囲
と、
法律で定められた「連鎖販売取引」の範囲
は、完全にイコールではありません。
日常会話で、
「それってマルチじゃない?」
と言われたからといって、法律上自動的に連鎖販売取引になるとは限りません。
反対に、
会社側が「これはマルチではなく紹介ビジネスです」と説明していても、実際の契約内容が連鎖販売取引の要件を満たせば、法律上の規制対象になる可能性があります。
名前ではなく「実態」で判断する
例えば、次のような名称でサービスが紹介される場合があります。
・紹介ビジネス
・パートナービジネス
・コミュニティビジネス
・アフィリエイト
・代理店ビジネス
・アンバサダー制度
・紹介制度
・副業コミュニティ
名称だけを見ると「MLMではない」と感じるかもしれません。
しかし重要なのは名前ではありません。
確認すべきなのは、
・紹介すると利益が得られるのか
・参加するために金銭的な負担があるのか
・紹介した人がさらに他人を紹介する仕組みなのか
・組織が多段階に広がっていくのか
という実際の仕組みです。
「モノなしマルチ」というケースもある
以前は、ネットワークビジネスやマルチ商法といえば、
・健康食品
・サプリメント
・化粧品
・日用品
などの商品を扱うケースが多く見られました。
しかし現在では、商品ではなく、
・投資
・副業
・オンラインサロン
・情報商材
・アフィリエイト
・セミナー
・各種サービス
などを契約し、人を紹介すると報酬が発生するケースもあります。
国民生活センターでは、このようなケースを「モノなしマルチ」と表現して注意喚起しています。
つまり、
物理的な商品がなければMLMではない
という考え方も正確ではありません。
サービスや役務を対象とした取引でも、仕組みによっては連鎖販売取引に該当する可能性があります。
マルチ商法とねずみ講は同じ?
これもよく混同されますが、同じではありません。
いわゆる「ねずみ講」は、法律上「無限連鎖講」と呼ばれ、禁止されています。
一方、ネットワークビジネス・MLMの中で一定の要件を満たす取引は、「連鎖販売取引」として特定商取引法による規制の対象になります。
ただし、
「商品があるから絶対にねずみ講ではない」
「MLMだから必ず合法」
という判断もできません。
実際の経済活動や報酬の原資、お金の流れなどを見る必要があります。
詳しくは、
「ネットワークビジネスとねずみ講の違いとは?」
の記事で解説しています。
【内部リンク】
/mlm-vs-pyramid-scheme/
連鎖販売取引ではどんなルールがある?
連鎖販売取引に該当する場合、特定商取引法によってさまざまなルールが設けられています。
勧誘する前に目的などを伝える
勧誘を行う前には、
・事業者や勧誘者等の氏名・名称
・特定負担を伴う契約について勧誘する目的であること
・商品やサービスの種類
などを伝える必要があります。
事実と違う説明は禁止
例えば、
「必ず稼げます」
「絶対に損しません」
など、契約の判断に影響する重要事項について事実と異なる説明をすることなどは問題になります。
契約書面等についてのルールがある
契約締結前・契約締結後には、法律で定められた事項を記載した書面等についてルールがあります。
クーリング・オフ制度がある
一定の条件を満たす連鎖販売取引では、原則として法定書面を受け取った日などから20日以内であればクーリング・オフが可能です。
そのため、
「ネットワークビジネスだから自己責任」
というわけではなく、消費者を保護するためのルールが設けられています。
「ネットワークビジネスなら安心」というわけでもない
会社によっては、
「うちはマルチ商法ではありません。ネットワークビジネスです」
と説明することもあるかもしれません。
しかし、
呼び方を変えただけで法律上の扱いが変わるわけではありません。
確認すべきなのは、
・商品やサービスの内容
・登録費用
・毎月の費用
・報酬の発生条件
・紹介制度
・契約内容
・返品、解約条件
・勧誘方法
です。
名称ではなく、契約内容を確認しましょう。
逆に「マルチだから危険」と一括りにするのも正確ではない
一方、
「マルチ商法という言葉が使われている=すべて違法」
という判断も正確ではありません。
重要なのは、その会社やビジネスについて、
・法律上必要なルールを守っているか
・商品やサービスに実態があるか
・費用が明確か
・収入について適切に説明しているか
・解約制度が整備されているか
などを個別に確認することです。
ネットワークビジネスを検討するときは、イメージだけで判断せず、客観的な情報を確認することが大切です。
4つの言葉をもう一度整理
最後に、もう一度整理しておきます。
ネットワークビジネス
人から人への紹介を利用して商品・サービスや販売組織を広げるビジネスについて使われる一般的な呼び方。
MLM
Multi-Level Marketingの略。
多段階に販売組織を形成するマーケティング方式を表す言葉。
マルチ商法
商品・サービスを契約し、その後、自分自身も他人を勧誘して紹介料などを得る商法を指す一般的な言葉。
法律上の「連鎖販売取引」と必ずしも完全には一致しない。
連鎖販売取引
一定の要件を満たした場合に適用される、特定商取引法上の取引類型。
勧誘方法、広告、書面、クーリング・オフなどについてルールが定められている。

よくある質問
Q.ネットワークビジネスとマルチ商法は同じですか?
一般的には似た取引形態を指して使われることがありますが、言葉の使われ方は必ずしも統一されていません。
特に法律上は、実際の取引が「連鎖販売取引」に該当するかどうかが重要です。
Q.MLMとネットワークビジネスは違いますか?
一般的には、ほぼ同じ意味で使われることが多い言葉です。
MLMは「Multi-Level Marketing」の略称で、ネットワークビジネスはその仕組みを日本で表現するときによく使われる呼び方の一つです。
Q.マルチ商法は違法ですか?
「マルチ商法」という言葉自体が違法行為を意味するわけではありません。
ただし、一定の取引は特定商取引法の連鎖販売取引として規制されており、違法・不適切な勧誘行為等が行われれば行政処分などの対象になる可能性があります。
Q.「マルチではなく紹介ビジネス」と言われました。本当ですか?
名称だけでは判断できません。
紹介による利益、参加時の負担、組織構造など実際の契約内容を確認する必要があります。
Q.商品がなくてもマルチ商法になることがありますか?
あります。
投資、副業、情報商材、セミナーなどサービスを対象とし、人を紹介することで報酬が得られる「モノなしマルチ」と呼ばれるケースもあります。
まとめ|言葉ではなく「実際の仕組み」を確認しよう
ネットワークビジネスについて調べると、
「ネットワークビジネス」
「MLM」
「マルチ商法」
「連鎖販売取引」
という似た言葉が出てきます。
一般的には、
ネットワークビジネス・MLM・マルチ商法
は、紹介によって商品・サービスや販売組織を広げるビジネスを表す際に使われる言葉です。
一方、
連鎖販売取引
は、一定の要件を満たした取引について特定商取引法で定められている法律上の取引類型です。
したがって、
「ネットワークビジネスだから合法」
「マルチ商法だから違法」
と名前だけで判断するのではなく、
・どのような商品・サービスなのか
・参加するためにどのような負担があるのか
・紹介によってどのような利益が得られるのか
・報酬の原資は何なのか
・契約・解約条件はどうなっているのか
・勧誘方法は適切なのか
まで確認することが重要です。
MLMスクエアでは、ネットワークビジネスについて肯定・否定のイメージだけで判断するのではなく、商品・費用・報酬プラン・法律などの情報を整理し、判断材料を提供していきます。
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※本記事はネットワークビジネスおよび関連する法律・制度について一般的な情報を提供することを目的としています。個別の事業や契約について合法・違法を判断するものではありません。具体的な契約トラブル等については、消費生活センターや弁護士などの専門機関へご相談ください。
【主な参考情報】
・消費者庁「特定商取引法ガイド|連鎖販売取引」
・国民生活センター「マルチ取引」
・国民生活センター「モノなしマルチ商法」に関する注意喚起

